攪拌の方法と効果

 フィルム現像において、攪拌ほど頭を悩ませる要因はないのではないでしょうか。攪拌の主目的は、フィルムの乳剤に新鮮な現像液を送り込むことで、現像を促進することでしょう。しかし、それ以外にも大切な役割があります。

攪拌方法

 現像タンクの内部で、リールに巻かれたフィルムの表面に存在する液を効率よく交換するには、倒立攪拌法で行います。タンクを立てた状態で、上下を引っくり返します。攪拌速度はゆっくりするのが望ましいです。上下に引っくり返すスピードが速すぎると、液がうまく移動しません。タンク内の空気が下から上に、ゴボゴボと完全に移動してから、タンクをまた逆にします。





 シートフィルムの現像であっても、同様に攪拌します。ただし、シートフィルムの現像タンクの場合は、タンクの向きを考慮した方が良いでしょう。タンク内で、液が移動した時、フィルムにかかる抵抗は少なくした方が望ましいと考えます。抵抗が大きくなると、ハンガーからフィルムが外れてしまったりします。

 

攪拌頻度と現像ムラ

 現像ムラを抑制するための攪拌として、1分間につき4回の倒立攪拌を施しております。攪拌方法がヘタくそだったころは、30秒間に2回の倒立攪拌をしても、ムラが発生していました。カクテルを作るみたいに、シャカシャカといきおいよく攪拌するのは最悪です。これだと乳剤面に接する現像液の交換がうまくされないし、しかもタンク内で妙な液の流れが出来るようで、ムラが発生します。経験上のことで、理論的な裏づけはありませんがね。


先鋭度の向上

 シュテックラー氏二浴式現像液(以下、S氏現像液)のA液では、液注入後10回の倒立攪拌し、その後1分間につき4回の倒立攪拌をしていますが、B液では液注入後10回の倒立攪拌までは同じですが、その後は3分間につき4回の倒立攪拌(最小攪拌法)と、攪拌頻度を少なくしています。

 ※最小攪拌法については、tokyo-photo.net参照

 その考え方なのですが、A液は通常の現像液ですから、液中には現像主薬(S氏現像液の場合はメトール)が存在しています。B液には存在しません。攪拌頻度を減らすことで得られるエッジ効果(先鋭度の向上)は、フィルムに露光された像のハイライト部とシャドー部での現像進行度合いの差により図られます。したがって、現像主薬の存在しないB液で最小攪拌法を用いた方がより効果が得られやすいと考えます。
 なお、通常攪拌と最小攪拌では、現像の進む速度が違いますので、最小攪拌法では現像時間を延長しないといけません。

 実際に、シートフィルムで検証を行った結果、通常攪拌法ででB液6分で処理したものと最小攪拌法でB液9分で処理したネガを比べたら、目視で差が見分けられるくらいの差がありました。ロールフィルムでは、検証まではしていませんが、充分にその効果はあると考えています。

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